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ニュージーランドのラグビー代表チーム「オールブラックス」と言えば、試合前に行われる勇壮な戦いの儀式「ハカ」が世界的に有名です。この伝統的なマオリの踊りには深い文化的意味が込められており、観る者を圧倒する迫力があります。本記事では、オールブラックスが披露するハカの種類、歴史的背景、そして観戦する際に理解しておきたい3つのポイントについて詳しく解説します。
はじめに:オールブラックスとハカの特別な関係

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オールブラックスとハカの関係は単なるパフォーマンス以上のものであり、ニュージーランドの文化的アイデンティティを象徴する重要な儀式となっています。ハカはマオリの伝統的な踊りで、戦いの前に敵に対して自分たちの強さを示し、士気を高める目的で行われてきました。オールブラックスは1905年から公式に試合前にハカを披露しており、100年以上にわたってこの伝統を守り続けています。
ハカを通じて選手たちは自分たちのルーツと繋がり、チームとしての団結力を高めています。また、相手チームに対して敬意を表しながらも、心理的優位性を築く効果もあります。このセクションでは、オールブラックスとハカの歴史的繋がりと、なぜこの儀式が今日まで大切に受け継がれているのかを探ります。

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ハカの歴史:マオリ文化からラグビーの伝統へ
ハカはもともとマオリ族の間で様々な目的に応じて行われる伝統的な踊りでした。戦いの前の儀式だけでなく、来客への歓迎や重要な出来事を祝う場面でも踊られていました。この文化的習慣がオールブラックスの伝統となったのは、1888年から1889年にかけてのニュージーランド先住民チームの海外遠征がきっかけと言われています。
この時期にマオリの選手たちが海外でハカを披露したことで大きな注目を集め、1905年のイギリス遠征の際に正式にオールブラックスの試合前儀式として定着しました。当初は文化的な理解が浅く単なる見世物的な要素もありましたが、時代とともにその意義は深まり、現在では選手たちが誇りを持って取り組む重要な儀式となっています。
マオリ文化における重要な表現方法であるハカは、単なるパフォーマンスではなく、祖先への敬意を表す神聖な儀式でもあります。オールブラックスの選手たちは、このハカを通じて自分たちのアイデンティティを表現し、チームの結束を強めているのです。
オールブラックスのアイデンティティとしてのハカ
オールブラックスにとってハカは単なる試合前の儀式ではなく、チームの魂とも言える存在です。黒いユニフォームとともに、ハカはオールブラックスの強烈なブランドイメージを形成する重要な要素になっています。世界中のラグビーファンが、この儀式を見るためだけに試合の開始を早めに観戦に訪れるほどの人気を誇ります。
ハカを披露することで、選手たちは自分たちのルーツに繋がり、チームとしての結束を強めています。マオリの選手だけでなく、様々な民族的背景を持つ選手たちもこの伝統を尊重し、真摯に取り組んでいます。このことは、ニュージーランドの多文化共生の姿勢を象徴するものでもあります。
チームの団結力と精神的な準備という面でも、ハカは重要な役割を果たしています。試合前に全員で行うことで、選手たちは心を一つにし、試合への集中力を高めることができるのです。また、相手チームに対しても心理的なプレッシャーをかける効果があります。
オールブラックスが演じる主なハカの種類と特徴
オールブラックスが披露するハカには主に2つの種類があり、それぞれに独自の歴史と意味を持っています。長年にわたって演じられてきた伝統的な「カ・マテ」と、2005年から新たに導入された「カパ・オ・パンゴ」です。これらのハカはそれぞれ異なる場面で披露され、異なるメッセージを伝えています。
両者の違いを理解することで、オールブラックスのパフォーマンスをより深く味わうことができます。特に「カパ・オ・パンゴ」は現代のオールブラックスのためにカスタマイズされたもので、より攻撃的な要素を含み、試合の重要性に応じて特別な場面で披露されることが多いという特徴があります。
カ・マテ(Ka Mate):最も有名な伝統的ハカ
「カ・マテ」は1820年代にマオリの首長テ・ラウパラハによって作られたと言われ、オールブラックスが最も頻繁に披露する伝統的なハカです。「私は生きる、私は生きる」(Ka mate, ka mate)という言葉から始まるこのハカは、テ・ラウパラハが敵から身を隠していた時の体験をもとに作られたとされています。
このハカの振り付けには、目を見開き、舌を突き出し、胸を叩くといった特徴的な動作が含まれており、これらには敵に対する威嚇や自分たちの力強さを表現する意味があります。「カ・マテ」は比較的シンプルな構成で、オールブラックスの標準的なハカとして長年親しまれてきました。
カ・マテの主な特徴:
- 始まりの言葉「Ka mate, ka mate, ka ora, ka ora」(死ぬか、生きるか)は生と死の間での闘争を象徴
- 比較的短く、約30秒程度で完了する
- 1905年から継続して演じられ、最も伝統的なハカとされる
カパ・オ・パンゴ(Kapa O Pango):現代的な意味を込めた新しいハカ
「カパ・オ・パンゴ」は2005年に特別に作られた新しいハカで、「黒いチーム」を意味し、オールブラックスのアイデンティティをより強く表現しています。このハカはより攻撃的で力強い動きが特徴で、特に重要な試合や節目となる場面で披露されることが多いです。
導入当初は喉を切る仕草が含まれていたため議論を呼びましたが、現在はそのジェスチャーの意味について「生命力の象徴」という解釈が示され、文化的な文脈で理解されています。「カパ・オ・パンゴ」はオールブラックス特有のハカとして、選手たちの誇りとチームの伝統を新たな形で表現しています。
カパ・オ・パンゴの特徴:
- 「オールブラックス」というチームのアイデンティティに特化して作られた
- より長く、複雑な振り付けと言葉で構成されている
- ワールドカップなどの重要な試合で披露されることが多い
ハカを理解するための3つの重要ポイント
ハカを単なるパフォーマンスとしてではなく、その文化的深さと意味を理解するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、オールブラックスのハカをより深く理解し、観戦の際により一層楽しむための3つの重要なポイントについて解説します。
これらのポイントを理解することで、単に迫力あるパフォーマンスとしてだけでなく、ニュージーランドの文化的遺産としてのハカの価値を認識することができるでしょう。また、選手たちがハカに込める思いや、なぜこの伝統が今日まで大切に守られてきたかについての理解も深まります。
ポイント1:ハカは挑発ではなく敬意の表現
多くの人はハカを単なる威嚇や挑発と捉えがちですが、実際にはもっと複雑な意味を持っています。確かにハカには相手に対する力の誇示という側面がありますが、同時に相手チームへの敬意を表す儀式でもあります。つまり「あなたたちは強いので、私たちは最高の状態で挑む」という意味合いが込められているのです。
オールブラックスの選手たちは、ハカを通じて試合の重要性を認識し、相手チームに対して最大限の尊敬を示しています。このことは、特に重要な試合や記念すべき対戦の際に、より情熱的なハカが披露されることからも伺えます。
文化的コンテキストを理解することで、ハカの本質的な意味を捉えることができます。例えば、かつての戦士たちが戦いの前に行うハカは、敵に対する敬意と自分たちの勇気の表現だったのです。オールブラックスもこの精神を受け継ぎ、ラグビーという「戦い」に臨んでいるのです。
ポイント2:ハカの各動作には象徴的な意味がある
ハカで見られる様々な動作は、単にインパクトを与えるためだけのものではなく、それぞれが特定の意味を持っています。例えば、手を震わせる動作は戦士の興奮や高まる闘志を表現し、足を踏み鳴らす動作は大地との繋がりや力強さを象徴しています。
目を大きく見開き、舌を突き出す「プカナ」と呼ばれる表情は、敵に対する威嚇であると同時に、マオリの信仰における神聖な表現でもあります。胸や太ももを叩く動作は心臓の鼓動や生命力を表現しており、チーム全体のエネルギーを高める役割を果たしています。
ハカの主な象徴的動作:
- 「プカナ」(目を見開き、舌を出す):敵への威嚇と精神的強さの表現
- 手足を震わせる:エネルギーと興奮の表現
- 地面を踏み鳴らす:大地とのつながりと安定性の象徴
ポイント3:リーダーとチームの一体感を表現している
ハカはチーム全体で行う儀式ですが、その中で特に重要な役割を担うのがリーダー(カイコレロ)です。リーダーはハカの掛け声をかけ、タイミングや強度を決定します。選手たちはリーダーの掛け声に合わせて完全に同調し、一糸乱れぬパフォーマンスを披露します。
この過程は、ラグビーというチームスポーツにおける団結力や協調性、そしてリーダーシップの重要性を象徴しています。全員が一体となってハカを披露することで、試合に向けて精神的に結束し、チームとしての絆を深めているのです。
観戦のポイントとしては、リーダーの動きと他の選手たちの反応に注目してみてください。リーダーが発する言葉と、それに応えるチーム全体の声が織りなす独特のリズムや緊張感は、ハカの醍醐味の一つです。また、選手たちの表情や動きの強さから、その試合に対する意気込みを感じ取ることもできます。
まとめ:文化と伝統が融合したオールブラックスのハカの魅力
オールブラックスのハカは、単なる試合前のパフォーマンスを超えて、ニュージーランドの文化的アイデンティティとラグビーの伝統が見事に融合した貴重な文化的表現です。「カ・マテ」と「カパ・オ・パンゴ」という2つの異なるハカを通じて、選手たちは自分たちのルーツに敬意を払いながら、チームとしての団結力を高め、試合への決意を示しています。
本記事で紹介した3つのポイントを理解することで、ハカをより深く味わい、その文化的価値を認識することができるでしょう。ハカは敬意の表現であり、各動作には象徴的な意味があり、そしてチームの一体感を表現しているという点に注目してみてください。
ハカの最も重要な側面は、それがマオリの伝統とモダンスポーツの見事な融合を象徴していることです。古代からの文化的遺産が現代のスポーツシーンで脈々と息づいている姿は、伝統を尊重しながらも時代とともに進化する文化の力強さを示しています。次回オールブラックスの試合を観戦する際には、ぜひこれらの知識を活かして、ハカの深い意味と魅力を堪能してください。
オールブラックスのハカを観戦する際のエチケット
ハカを観戦する際のエチケットについても知っておくと、より良い観戦体験につながります。ハカが披露されている間は静かに敬意を持って見守ることが基本です。特に試合会場で直接観戦する場合は、パフォーマンス中の私語や不適切な野次などは控えましょう。
世界中のラグビーファンの間では、オールブラックスのハカに対して相手チームがどのように対応するかも注目されています。相手チームが前進してハカに挑むように対応する場合もあれば、じっと静かに見守る場合もあります。このような対応もまた、ラグビーカルチャーの興味深い一面です。
ハカの文化的重要性を尊重するという観点からは、ハカを単なるエンターテイメントとしてではなく、ニュージーランドの先住民であるマオリの人々の大切な文化的遺産として認識することが重要です。この理解があれば、ハカの真の価値と意義をより深く感じ取ることができるでしょう。
この記事を書いた人

有限会社エムアンドワイ企画サービス代表取締役
Rugby Online(ラグビーオンライン)シャチョーことキョーヘー
高校卒業後にニュージーランドへ渡りラグビー修行。その後、ラグビーの本場ニュージーランドで身近にある「ラグビー」を日本にも持ってきたい!との想いで起業。ラグビー用品専門のWEBショップ「ラグビーオンライン」を開設。生粋のラグビー好きによる、ラグビーにまつわる様々な情報の発信です!